プラスチックボールで何が変わったか。セルロイドの感覚で打つと球が落ちる理由

セルロイドの感覚で打つと、球は落ちる ブランク中に変わったこと

卓球は25年やっています。全国大会にも出ました。今は月に1、2回、指導で台に立つくらいです。

前回の記事では、ブランク明けに球が速く感じるのは、頭の予測と体のズレのせいだという話を書きました。今回はボールの話です。

セルロイドの球しか知らない人が今の球を打つと、たぶん落ちます。私もそうでした。下回転を昔と同じ角度で持ち上げると、ネットにかかる。面を少し上に向けて、少し上に振って、ようやく入る。

この感覚は、頭で理解するより、数を打って体に覚えさせるほうが早いです。

いつ、何が変わったのか

ボールがセルロイドからプラスチックに変わったのは、2014年7月のITTF(国際卓球連盟)の大会からです。日本の国内大会には、2015年から順番に入ってきました。

きっかけは性能の話ではなく、安全と供給の問題でした。セルロイドは燃えやすく、熱や湿気で傷み、ひどいと自然発火することもある。飛行機で運ぶにも制限があって、原料も手に入りにくくなっていたそうです。

素材と一緒に、大きさもほんの少し変わっています。表記は「40」から「40+」へ。重さの規格はどちらも2.7gのままです。

プラスチックの球も、最初から完成していたわけではありません。初めのころのものは割れやすかったり、真ん丸じゃなかったり。品質が安定してきたのは、ABS樹脂の球が出てきた2016年ごろからです。

セルロイドの感覚のまま打つと、球が落ちる

セルロイドの感覚のまま振るとネットにかかり、面を少し上げて下から上へ振るとネットを越える様子を横から見た図

ここが、昔と一番違うところです。

プラスチックに変わってから、私は「球は落ちるもの」と思って打つようになりました。面を上げて打つことが、はっきり増えています。

技術ごとに言うと、違和感の出方は二つあります。

ツッツキとストップは、球がラバーの上を滑る感じがする。

ドライブは、打った球が下に落ちていく感じがする。こっちは面を上に向けることで合わせました。

台の上の短い技術と、前に飛ばす技術とでは、ズレ方が違うんです。これをまとめて「なんか全部おかしい」と感じてしまうと、どこから直せばいいのか分からなくなります。

昔と同じように振っているのに入らないときは、フォームを疑う前に、面の角度と振る方向を少しだけ上に変えてみてください。

「重く感じる」のはなぜか

セルロイドを知っている人は、たいてい今の球を重たく感じます。私も最初はそうでした。

でも、重さの規格は変わっていません。重たいのは感覚のほうです。回転がかかりにくく、打っても思ったほど伸びないから、同じ力で打っても手応えが重たく感じるんだと思います。

年を取って力が落ちたせいだ、と落ち込む必要はありません。球のほうが変わったんです。

最初のころのプラスチック球は、すぐ割れた

切り替わってすぐの球は、よく割れました。私もすぐに割ってしまったことがあります。ITTFも、初期の球には耐久性の問題があったと認めています。

今はABS樹脂の球が主流になって、あのころほどは割れません。「プラスチックはすぐ割れる」という印象のまま止まっている人は、今の球を一度打ってみてください。

湿気で滑る

これは私の感覚ですが、今の球は湿気で滑ります。蒸し暑い日の体育館だと、持った瞬間に「あれ?」となる。

体育館なら、台の近くにタオルを置いて、サーブの前に手を拭くようにしておくと楽です。

メーカーで打った感じが違う

同じ公認球でも、メーカーによって打った感じは違います。

私はニッタクの球がクセが少なくて打ちやすいと感じています。再開してまず練習用の球を買うなら、クセの少ないものからにしておくと、「自分がズレているのか、球のクセなのか」を分けて考えやすいです。

大会に出る予定があるなら、その大会の使用球を調べて、同じ球で練習しておくのがおすすめです。当日の違和感がだいぶ違います。

昔のメーカーがなくなっていることもある

ブランクが長いと、昔の商品名で用具を探して見つからない、ということが起きます。

たとえばTSP。TSPブランドはラバーとラケットの生産を2020年10月末で終え、2021年春にVICTASに統合されました。スワットは「SWAT」、スーパーヴェンタスは「VENTUS Extra」として残っていますが、後継のないまま終わった製品もあります。

押し入れにTSPのラケットやラバーが残っているなら、分けて考えてください。ラケットは、公式試合でも引き続き使えるとされています。ラバーは、ITTFの公認ラバーリストに載っていることが条件です。生産が終わってから時間が経っているので、リストから外れている製品もありえます。試合で使う前に、最新のリストで製品ごとに確かめておいてください。

何年も置きっぱなしだったラバーは、ゴムが劣化しているかもしれません。一度打ってみて、状態を見てからのほうが安心です。

結局、数を打つのが一番の近道

いろいろ書きましたが、セルロイドから戻ってくる人に一番効くのは、数をこなして感覚をつかむことです。

面を上げる、少し上に振る。頭では分かっていても、体が昔の角度を覚えているうちは、同じミスが出ます。前回書いた、頭の予測と体のズレと同じことです。それを書き換えるには、今の球をとにかくたくさん打つしかありません。

まとめ

セルロイドの感覚で打つと、今の球は落ちます。下回転は少し上に振って、面を上げる。重たく感じるのは、規格ではなく感覚の問題です。

用具は昔の名前で探さずに、今あるものから選び直す。そして感覚を戻すなら、とにかく数を打つ。

次回は、スピードグルーがなくなったあとのラバー選びについて書く予定です。


参考

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