卓球歴25年、高校時代に全国大会に出て、今は月に1、2回指導する側で台に立っています。
この記事では、ブランク明けに振り遅れる原因と、ブランクの長さごとに何から戻せばいいのかを書きます。
先に結論を言います。振り遅れる原因は、体力でも用具でも球の速さでもありません。頭の中の予測が全盛期のままで、実際に動く体が今のものだからです。このズレが、そのまま「球が速い」という体感になります。
球は昔より速くなっているのか
なっていません。むしろ逆です。
2000年10月にボールが38mmから40mmに大きくなったとき、スピードも回転量も落ちました。2014年にセルロイドからプラスチックに切り替わったときには、さらに回転量が落ちて軌道が直線的になりました。
昔のようにカーブドライブが曲がらない、というのは気のせいではありません。実際にそうなっています。
つまり、あなたが体感している速さは、球の側の変化では説明がつきません。
なぜズレるのか

頭には、一番動けていたころの自分が残っています。
この球はこのタイミングで振れば間に合う。その予測も、当時の体を前提に作られています。ところが実際に振るのは今の体です。
自分では同じように動いているつもりなのに、結果だけが合わない。これがブランク明けで一番こたえるところだと思います。
だから、ここで用具を疑っても解決しません。ラケットを軽くしても、振りを小さくしても、ズレているのは予測の側だからです。
ブランクの長さで、戻し方は変わる
ズレの大きさが違うので、やることも変わります。
1年前後のブランク
予測はほぼ生きています。ズレも小さい。打っているうちに合ってくる範囲なので、余計なことをしないことが一番の対策です。この段階でフォームを変えたり用具を変えたりすると、戻るはずのものまで崩れます。
3年から5年のブランク
予測と出力の差がはっきり出ます。頭では分かっているのに体が間に合わない、という感覚が一番強く出るのがこの帯です。ここで焾れてフォームをいじる人が多いですが、先にタイミングを合わせ直す方が早い。
10年以上のブランク
予測そのものが、今の環境と合っていません。球が変わり、用具が変わり、飛んでくるサーブも変わっています。昔の感覚を戻すのではなく、基準を作り直すつもりで入った方が、結果的に早く戻ります。
どの年数でも共通する戻す順番
最初にやるのは握りの感覚です。

ラケットを持っている感覚がないというのは、ブランク明けに必ず出ます。自分の手の延長ではなく、別の道具を持っている感じになる。これは筋力の問題ではないので、素振りを増やしても戻りません。打球の瞬間に手に返ってくる感触が、握りの感覚を戻します。最初の30分は強く打たず、軽い球を多く打つことを優先してください。
次にタイミングです。
今の自分が間に合うタイミングを覚え直します。昔の基準で待っている限り、何球打っても振り遅れ続けます。
その後がサーブ、最後がフォームの矯正です。
フォームは一番手をつけたくなるところですが、握りとタイミングが戻っていない段階でいじると、何を直しているのか分からなくなります。ミスの原因がフォームなのか握りなのか、判別がつかないからです。
サーブは「忘れた」のではなく「変わった」
サーブの構えが思い出せない、というのは記憶だけの問題ではありません。ブランクの間に、主流のサーブそのものが変わっています。
分かりやすいのが巻き込みサーブです。今は学生から一般の大人まで普通に使ってきます。
自分が出せないだけならまだいいのですが、問題は受ける側に回ったときです。見たことのないサーブは回転の方向が読めません。ブランク明けに試合で崩れる人の多くは、ラリーで負けているのではなく、3球目までで決められています。
テレビの卓球を基準にしなくていい
テレビで見る卓球と、台の上で起きていることが別物に見える、というのもよくあります。
あれは毎日何時間も打って作られた動きです。週に1回打てるかどうかの人が自分の見本にすると、できないことだけが目につきます。見るのと、戻すための基準にするのは別でいいと思います。
まとめ
振り遅れるのは、球が速くなったからでも、振りが遅くなったからでもありません。頭の予測が昔のままだからです。
最初に握り、次にタイミング、その後にサーブ、フォームは最後。週に1回しか打てないなら、この順番を守るだけで戻り方が変わります。
次回は、セルロイドからプラスチックに変わって、打球感と回転が具体的にどう変わったのかを書きます。
ボールの変更時期と、スピード・回転量への影響については、おかえり卓球 〜渋谷浩と振り返る卓球の今むかし〜 ③|卓球レポートを参照しました。

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